「Apple Design Award 2020」受賞作品紹介!

先月末頃に行われたApple Design Awardで今年の受賞作品となったアプリおよび
ゲームのデベロッパ8組が発表されました。

どの作品も卓越したデザインや技術面には目を見張るものがありましたが、
Apple Design Awardの選考基準についてご存知でしょうか?

調べたところによると、Apple Design AwardはUIはもちろん、サウンドやグラフィック、操作性に加え、Apple側が用意している最新の技術を使っているかどうかも選考基準として選ばれているようです。
また、一般的な操作より、まだ誰もやっていないような新しい操作性、デザインが選ばれる傾向にある印象を受けました。

デザインや技術だけではなく、新しいものを生み出す独創的なアイディアも求められるということですね。

そこで、今回はドリームオンラインのデザイン部でそれぞれのアプリを実際に使ってみて、その使用感や考察を簡単にまとめてみました。

「良いアプリを作るには、良いアプリを知るところから。」

ということで、各アプリのレビューをご紹介していこうと思います!

アプリケーション編、ゲーム編から4つずつ受賞作品が選ばれましたが、アプリケーション編を受賞したStaffPadについては、インストールするのに1万円かかるため今回はこちらを除いた7つをご紹介します。

まずは、アプリケーション編です。

◆アプリケーション編


①Shapr 3D
 

iPad専用の革新的な3Dモデル作成アプリです。
通常、3Dモデルを作成するには高い処理能力を持つデスクトップコンピューターが必要になりますが、Shapr 3Dを使うと、iPadとApplePencilだけで直感的に3Dモデルを作成することができます。
UIはiOSの標準UIの要素がベースとなっていて、OSに最初から入っているアプリと見た目が近しいので馴染みやすいのも特徴です。
また、チュートリアルが全て動画で表示されたり、実践中に左下に動画がリピート再生されるなど、説明のあとすぐに実践できるような流れになっていて操作が覚えやすい作りになっています。
設定画面では左右のボタン表示を入れ替えることができ、左手でApplePencilを持って操作すると「左利きですか?UIを反対側に切り替えますか?」とダイアログが表示されるなど利き手にも配慮されています。


②Looom

iPad専用の手描きアニメーション作成アプリです。
音楽制作ツールからヒントを得て作られていて、リリースされたのは約4ヶ月前とかなり新しいです。
操作がかなり独特で基本言葉での説明がないため、初見では使い方を把握するのに少々時間がかかりますが、慣れてくると直感的に使うことができます。
どちらかというと本格的なアニメーションを作るアプリではなく、遊び感覚で使うイメージです。
遊び心に溢れた設計で創造性を刺激するUIはプロの方でも初心者でも楽しめるデザインになっています。


③Darkroom

美しいUIが特徴のパワフルな写真&ビデオ編集アプリです。
ホーム画面でのクイックアクションやコンテクストメニュー、触覚などiOS13から追加された機能がたくさん盛り込まれています。
多機能にも関わらず、横スクロールと縦スクロールをうまく使い分けて機能が整理整頓されているため、少し触ればどんなことができるのか、どこに何の機能があるのか把握しやすく非常に操作性が高いのが魅力です。
UIは非常にシンプルですが、同色系とアクセントカラーをうまく取り入れて美しく使いやすい設計になっています。色の使い方はかなり参考になりそうです。
また、外観の設定を3パターン設けることで、基本はダークモードで使いたいけどこのアプリだけはライトモードにしたい、というユーザーにも便利で親切な設計になっています。
ダークモード対応しているアプリはこの設計を標準にするとよさそうです。

◆ゲーム編

一部ネタバレを含みますので閲覧にはご注意ください。


①Sayonara Wild Hearts

発表以来、その卓越したデザインで称賛されてきた、美しくユニークなリズムゲームです。
内容については、主人公の失恋によって生まれたもう一人の主人公と戦う、というもので、鮮やかな色合いのグラフィックやプレイヤーのアドレナリンを沸き立たせるような爽快な音楽が特徴です。
使われている色、線の組み合わせで構成されている素材など、世界観が統一されていてより没入感を味わうことができます。
スマホ以外にもPS4などのゲーム機でも展開しているため、そちらの方がよりグラフィックの良さは伝わるかも…?
また、1つのステージでバイクを操作したり、ノーツをタップして攻撃したりといろいろな操作要素があるので難易度が高そうに思えますが、3回失敗するとスキップの救済措置があるためゲームにあまり慣れていない人でも安心してプレイできます。


②Song of Bloom

謎を解くことで木を育て花を咲かせていくパズルゲームです。
画面内だけでなく、それ以外の要素(例えば、ジャイロ、シェイク、音量ボタン、充電機など)も使って謎を解いていくため新感覚のゲームとなっています。
音量ボタンで操作したり長押しでタップしながら他の部分をタップしたりと普段端末を使う上で行わない操作があるのも特徴です。
1つ謎を解くと1つ花が咲き、クリアの順序も固定でないため、手軽に謎解きを楽しむことができます。
実写、クレイアニメ、イラストなど様々な素材が使用されていてパズル毎に世界観が異なるため、全く飽きることなくゲームを進められます。


③Where Cards Fall

プレイヤーがカードで家を建て、それを足場にしてゴールを目指す立体的なアクションパズルゲームです。
ステージをクリアすると、一回一回主人公の子どもの頃の記憶を象ったストーリーが挟まれるようになっていて、記憶を掘り起こしながら進めていきます。
セリフやナレーションがほとんどなく、風景と登場人物の動きといった情景だけ語られていく※ナラティブといった手法が使われているのが特徴です。
UIはプレイ画面の上のレイヤーに置くというよりも、世界観を邪魔しないように右端に置いてあり、タップすると開く仕様になっています。
手書き風なのは、常にスケッチブックを携帯するほど主人公が絵を描くことが好きなので、世界観に合わせて手描きスタイルを採用している、と開発者インタビューの記事に記載されていました。
臨場感溢れる音楽に加え、最低限に抑えられたUIなど、世界観を極力壊さないように徹底していることがわかります。

※ナラティブ:出来上がった物語を指すストーリーとは違い、自由に一人ひとりが主体となって語ることを指します。


④Sky: Children of the Light

2019年にAppleの内でもっとも注目されるべきアプリを選ぶ「Best of 2019」でiPhone Game of the Yearを受賞したアクションゲームです。
内容については、星を紡ぐ子どもを操作して、空から落ちてしまった星々を星座の元に還すために旅をする、というものです。
グラフィックはここ数年増えてきているオープンワールドを採用していて、広大なフィールドを360度好きに動き回ることができます。
また、アプリの初回起動時にイヤホンをおすすめされるほど音楽にもかなりこだわっているのも特徴です。
こちらもナラティブが使われているため文字での説明がほとんどないものの、どこにいけばいいかわからないときは自分のキャラクターをタップすると向かうべき方角が出るなど直感的に操作ができるようになっています。

いかがだったでしょうか?
今年は、AppleがiPadに力を入れていることもあってiPadのアプリが多く選ばれたようですね。

アプリケーション編については、Apple側が用意している最新の技術や独創的な操作性を取り入れつつ、ユーザーの操作性に影響しないよう綿密に設計されているのだと感じました。
多機能になればなるほど、どうしても雑多になりがちなUIですが、どのアプリも整理整頓されていて感覚的に使うことができます。

ゲーム編については、極力世界観を邪魔しないように設計されたUIや没入感を高める要素の一つでもある音楽に力を入れていて、どのアプリも気づいたら何時間も没頭してしまいそうなほど面白かったです。

今回使ってみて色々な発見があったので、気になった方は是非、検索・インストールしてみてください!

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